浜中地区の農家グループ「波の会」が耕作放棄地対策で栽培している「啓翁桜」が今年、初出荷を迎えます。グループは平成25年に栽培を開始。きっかけは24年に酒田市農業委員会からの委託で、当JAが国の耕作放棄地再生利用緊急対策事業を活用して約30aの実証ほを設置したことでした。今後は耕作放棄地対策を進めるため栽培技術の確立を目指し、地区の新しい品目として啓翁桜を定着させていく方針です。
浜中地区は砂丘地を生かしたメロンや花きなどの栽培が盛んですが、農家の高齢化などから耕作放棄地の増加が深刻化。対策に啓翁桜を選んだのは、山形県が全国一の出荷量を誇り知名度や産地ブランドが確立していること、木をローテーションした栽培なので、ある程度の面積が必要だったことや、既存の品目と繁忙期が重ならず冬場の収入が得られるなどのメリットがあったからです。
これまでを振り返り、グループの佐藤宗也代表は「栽培技術を習得すれば、高齢農家でも比較的栽培しやすいことが分かった。農地を耕作放棄地にするよりは、啓翁桜で農業を続ける人が増えてくれたら」と話します。
初出荷を控えた1月12日には、県酒田農業技術普及課とJA担当職員、花き部会花木専門部の高橋正幸専門部長が同地区の圃場を訪れ、グループのメンバー8人と生育調査や切り出し方などを確認しました。今後1月中旬には枝を切り出し、ハウスで加温して花芽を出す「促成」をかけ、2月上旬には出荷できる見込み。関東地方の市場に出荷します。
佐藤代表は「今後、地区で啓翁桜が普及するかどうかは初出荷の実績で決まるはず。失敗できないプレッシャーはあるが、仲間と力を合わせて成功させたい。目標は地区の耕作放棄地をサクラで埋め尽くすこと」と意気込んでいました。
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